一)一般的にプリンシプルとは日本語で「原理原則」や「主義」と訳される。このプリンシプルを戦中戦後に貫きGHQに「従順ならざる唯一の日本人」と言わしめた白洲次郎氏に関する本『白洲次郎100の言葉(別冊宝島編集部)』を読んで感銘を受けた言葉の一部をここに紹介したい。※印は私の勝手な所感。
二)P8:「我々は戦争には負けたが奴隷になったのではない」※当時、敗戦国となった日本にこの気概を持てた日本人が何人いたんだろうか。白洲次郎氏は武士道と騎士道を併せ持ったような人で、今こそこういう気概が必要だと思う。いつまで敗戦国であり続ける必要はない。
三)P15:「弱い奴が強い奴に抑えつけられるのは世の常で致し方なしとしても、言うことだけは堂々と正しいことを言うべきだ」※これは仕事や会社でも同じで、たとえ取引額が大きい客先であっても、理不尽で倫理観に反する要求に対しては、はっきりとお断りするということ。
四)P28:「ようやく戦勝国と対等の立場になれる会議で、その晴れの日の原稿を、相手の承諾を得て相手国の言葉で書く奴がどこにいるんだ!」※これはサンフランシスコ講和条約で首席全権として吉田茂が行う演説の原稿を作った外務省に対する白洲次郎氏の言葉。これは、たとえ負けても日本人としての誇りを持つことの大切さを意味している。
五)P48:「人様に、叱られたり、とやかく言われたくらいで、引っ込む心臓は持ち合わせていない」※SNSやネットが猛威を振るっている昨今、ついつい批判や中傷、軽蔑されることを気にして言いたいことややりたいことを我慢してしまう。白洲次郎氏のような心臓を持ちたい。
六)P58:「困ったときだけ大変だ大変だと大騒ぎして、政府に泣きついてくるが、それで儲かったときは知らぬ顔の半兵衛を決め込む。プリンシプルもなく、走り出したバスに飛び乗るのがうまいだけだ」※これはある種の財界人に対する言葉らしいが、税金を払いたがらないのに助成金や補助金をたかる経営者も同じだ。
七)P60:「人に好かれようと思って仕事をするな。むしろ半分の人間に積極的に嫌われるように努力しないとちゃんとした仕事はできねえぞ」※白洲次郎氏は「リーダーなるべき人間は好かれたら終わり。7割の人間に煙たがられなければ本物ではない」とも言っている。本当にそう思う。経営者は特に。
八)P66:「地位が上がるほど役得ではなく“役損”が増えることを覚えておけ」※こんなことを現代で言うとブラックとかパワハラとか言われそうだが、昔から「ノブレス・オブリージュ」という言葉もある。「位高きは徳高きを要す」という意味だ。
九)P100:「自分より目下と思われる人間には親切にしろよ」※白洲次郎氏は「人が困っているときは助けるもんだ」とも言っている。両方とも当たり前のことだが、実際にいつでもどこでもちゃんと100%出来ているかどうか振り返ると自信がない。肝に銘じておきたい。
十)P152:「本当の友情は腹を割り合った仲にのみ生まれる。相手が好きそうなことばかり言って一時的に相手を喜ばして、してやったりと思っているなど浅はかな極みである」※全くその通り。付け加えると相手が腹を割って話したことを他言しないことだ。口の堅さと友情の強度は比例する。
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