2025年08月01日

職人について

一)最近、たまに現場で若い職人と話すことがある。昔に比べてずいぶんと雰囲気が変わったなあと感じる。いい意味で、今どきの若者らしい柔らかさもあるが、一方で「芯の強さ」を感じる瞬間もある。口数が少なくても、夢や野心がある。















二)私たちの仕事は、言ってしまえば「モノづくり」だ。でも、建設業は工場のような均一生産ではない。ひとつひとつの現場に違いがあり、ひとつひとつの判断が求められる。そこに必要なのが「技術」であり「経験」であり「知恵」だ。














三)思えば私自身も職人だったし、創業当時、現場で防水工事や外壁改修工事をしていた。ローラーを持ち、缶を運び、汗を流しながら手を動かしていた。段取りを間違えれば、翌日には不具合になる。いい加減にやれば、すぐに建物が泣く。














四)最近は「技能実習」や「特定技能」の外国人も増えてきた。昨日もうちのベトナム人の社員が栃木の研修合宿に参加している『職人道場』に陣中見舞いに行ってきた。日本語もままならない中で、真剣な顔つきで道具を使い、ひとつひとつ吸収している姿を見ると、胸が熱くなる。














五)私は、職人とは孤高で寡黙な存在みたいなイメージを持っていた。でも、最近は少し変わってきた。いい職人ほど、実は仲間とよく話している。後輩を気にかけ、現場全体を見ている。現代の職人は、「技」だけでなく「人」としての器も求められているような気がする。














六)現場に行くと、職人同士の「無言の連携」を見かける。声をかけなくても、動きだけで通じ合っている。私もかつてはそうだった。あの空気感を見るたびに「チームってこういうことだよな」と思い知らされる。言葉じゃない。失敗と成功の積み重ねが現場を動かしている。














七)とはいえ、職人の世界は甘くない。暑さ寒さ、腰痛や怪我、精神的なプレッシャー。一朝一夕では一人前にはなれない。だからこそ、この道で続けている人には、心から敬意を払いたい。建物は設計図だけじゃ建たない。図面をカタチにする手があるから、成り立っている。














八)会社として、そんな職人たちがもっと誇れる環境をつくりたいと思っている。労働時間、待遇、資格取得、福利厚生など。もちろん簡単なことではない。でも「手に職を持つ」ということがもっと社会で評価されるように、私たちが発信し続けなければならない。














九)現場の職人がいるから、営業も設計も成り立つ。施工管理も、安全管理も意味を持つ。だからこそ、これからの時代、もっと「職人が主役」になる現場を目指したい。技術があって、信頼されて、カッコよくて、そしてちゃんと報われる。そんな仕事だ。














十)「いい仕事だったね」と言われるとき、それは技術だけじゃなく、想いが届いた瞬間だと思う。私たちがつくるのは、経営理念にもある「安全な建物、安心な生活、安定した環境」であり、誰かの未来だ。だからこそ今日も現場で汗をかく職人たちに、心から「ありがとう」と言いたい。


 
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