一)この度、約1カ月間会社を離れ、神職の資格を取得するための合宿に参加してきた。私が会社を1カ月も空けることに不安もあったし、行く前には「なぜ今なのか」「そこまでして行く必要があるのか」という迷いもあったが、会社は社員がしっかり守ってくれ、私自身も大きな学びを得られた。
二)今回参加するきっかけになったのは、以前受講した建築士会主催のヘリテージマネージャー講習。全国各地に神社や歴史的建造物があり、その土地の文化や伝統、地域の人たちの歴史が何百年、場合によっては千年以上も受け継がれてきたが、人口減少や過疎化などで、それを守り続けることが難しくなっていることを知った。
三)ラックス建設は、古くなった建物を修繕し、守り、維持することを得意としてきた。防水、外壁改修、耐震や補強など、35年間培ってきた技術を、神社をはじめとする文化的歴史建造物を後世に残すために活かせないだろうか。それが今回、神職を学ぼうと思った大きな目的の一つだった。
四)ただ実際に合宿に入ってみると、建物を守るだけでは足りないということに気づかされた。神社には形だけではなく、そこに受け継がれてきた祭りや慣習、地域との繋がりがある。建物だけ綺麗に直しても、その中にあるものを理解していなければ、本当の意味で文化を守ったことにはならないと思った。
五)合宿では、神道について学び、祝詞や祭式、作法、歴史、古典など、これまで知らなかった日本のことを一から勉強した。正直、簡単ではなかったし、覚えることも多いし、普段の日常とはまったく違う世界。この歳になって学生のように教えてもらい、間違えて、また覚え直す(苦笑)。
六)そして一番大きな成果は、資格や知識そのもの以上に、日本人が昔から何を大切にしてきたのかを考える時間を持てたことだと思う。自然に感謝すること、祖先を敬うこと、家族を大切にすること、地域の人たちと助け合うこと、自分一人で生きているわけではないということ。どれも忘れがちなことばかりだった。
七)神社という場所も、単にお願い事をする場所ではなく、祭りがあり、人が集まり、世代から世代へ地域の記憶が引き継がれていく。そこには日本人が気が遠くなるような長い年月をかけてつくってきた伝統がある。新しいものを作ることも大切だが、昔からあるものを次の世代へ渡していくことも同じくらい大切だと思う。
八)これは会社経営にも通じるところがあって、創業者一人が頑張ったところで、会社は続かない。先輩から後輩へ技術を伝え、考え方を伝え、次の世代がまた新しいものを加えていく。「受け継ぐ」という意味では創業100年を目指しているうちも同じだと思う。
九)今回学んだことを、神職の資格を取るというだけで終わらせず、神社や歴史的建造物を守ること、地域の文化を残すこと、そして災害時には地域を支える場所として活用すること。そこにうちが培ってきた建築改修技術を組み合わせれば、社会課題の解決にも繋がると思う。
十)それと今回の講習で記憶に残しておきたいのが「稽古照今(けいこしょうこん)」という言葉。古事記の言葉で「古(いにしえ)を稽(かんが)え、今に照らす。昔の出来事や教えをよく調べ、考えたうえで、現在のあり方や生き方の参考にすること」という意味。心掛けたいと思う。
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